DDS(ドラッグデリバリーシステム)

如何に良い化粧品でも、手元に届く前に100℃を超える高温に長時間晒されて変質していたり、量が少なく一度しか使えなかったり、はたまた洗浄せず著しく汚れた肌に用いては効果が有りません。これは、ミクロな視点で同じような事が化粧品に含まれるアクティブ成分自体にも当てはめる事ができ、医薬品分野を中心に如何に有用な成分をその効果を保ちつつ、必要な場所へ、必要な量、必要な時間届けられるかが日々研究されています。

このようなアクティブ成分を目的の場所へしっかりと届ける手法をDDS(ドラッグデリバリーシステム)と言います。

DDSは基本的なアクティブ成分の化学的な安定性の保持であるスタビリティなど様々な手法がありますが、現在の主流は必要な量を必要な部位へ選択的に届けるターゲット、必要な量を必要なペース、タイミングで届けるコントロールリリース、必要な量を必要な部位へ吸収させるアブソープションなどの改善になります。

化粧品においても、アクティブ成分を皮膚上に塗布するまでのコントロールリリースや、流通時のスタビリティやの改善の為にリポソームや誘導体などのDDSが一部用いられています。

DDSタイプ 概要 化粧品における代表的な例
スタビリティ アクティブ成分の効能が失われないように、物理的、化学的な安定性を保たせる。
ただし、誘導体をはじめとした強く安定した成分は、本来の有用性を発揮する為にはコントロールリリースが同時に必要不可欠。
リポソーム、一部ビタミンC誘導体等
ターゲット アクティブ成分を必要な量を必要な部位へ選択的に届ける。 特に無し
コントロール
リリース
アクティブ成分の必要な量を必要なペースで必要なタイミングに必要な部位へ届ける。 一部ビタミンC誘導体、マイクロニードルパッチ等
アブソープション アクティブ成分の必要な量を必要な部位へ吸収させる。 特に無し